<2016年5月27日コメント>
食塩無添加食を実施してからはや3年目を迎えました。体重の減量とも相まって、実施前より随分と血圧が低下し、お陰で降圧薬を一頃の半分の量に減らすことができました。時々の外食は、家での食塩無添加食を離れての息抜きにもなっていますし、ご褒美とも言えます。とはいえ、家庭では食塩無添加食が基本になっていますので、レストランに入っても料理の味の濃さについて行けず、血圧の低い妻に食べてもらうこともしばしばです。大体において、美味しい料理を出すところは、料理人の水準が高く食材もいいので、少し値が張るのも事実です。
妻がいろいろと工夫して作ってくれる料理に、大変満足していますが、それにつけても、世の料理研究家と称される方に、もっと真剣に低塩食料理の美味しいものを考えて欲しいと思っています。塩分の多い調味料の味で美味しいと言っている料理番組が、余りにも多すぎる気がします。
学会や研究会、市民公開講座等で時々食塩無添加食を紹介していますが、驚かれることが多いのは仕方ないとしても、やってみようと思われる方がまだまだ少ないのが実情です。どうすれば同調者が増えるかなと考えているこの頃です。 上島 弘嗣
2016年5月25日
2016年5月12日
2016年4月26日
スープと鳥肉のピカタ
今日の朝食は、昨日のご飯が少し残ったものを妻がうまく無塩の雑炊にしてくれた。この雑炊、思わず「うまいなー」とつぶやいた。
鶏肉のスープに、卵、ミニトマト、レタス、新玉ねぎ、人参などを炊き込み、雑炊にしたものである(写真1)。鶏肉のスープのうま味に、新玉ねぎの甘み、トマトの酸味と甘みが混じり、レタスの食感も加わり、絶品であった。従来の料理ならこれに塩味をつけるのであろうが、全く不用である。大体、朝は味覚が敏感であり、薄味にするにはもってこいなのである。
この雑炊に、茹で鳥のピカタ(これ何と問うと、昨日の鳥肉のスープを取った残りに卵をつけて油焼きしたものとのことであった)に、野菜と揚げ豆腐の炒め物、生野菜にリンゴを添えたものであった(写真2)。
今日の朝食は美味しく、雑炊のおかわりをした。塩分が雑炊を食べても入らないのは実にいい。安心できる。
世に言う料理研究家の方は、このような美味しい無塩料理や減塩料理を工夫して欲しいものである。
写真1(妻の料理) 鳥肉のスープを使った無塩雑炊
写真2(妻の料理)蒸し鶏のピカタと野菜、リンゴ添え
2016年3月14日
朝の簡単な無塩鶏肉、鱈の野菜スープ
孫がインフルエンザにかかり、妻が不在で、私の料理が連日続きました。もっとも、間に出張が有り外食はするのですが、帰宅すれば食塩無添加料理を作っています。先日は新幹線で出張する時も、自分で無塩弁当を作りました。いま時、新幹線で手弁当の人を見かけることはほとんど無いのですが、おもむろに輪ゴムをはずし、包みの新聞を解いてお弁当を広げます。爺さんとしては平気です。
さて、今日は私の作った男の簡単朝食の一品を紹介します。鱈と鳥、揚げ豆腐に白菜などの野菜を煮込んだスープです(写真1)。調味料は食べる時に振りかけた七味のみ、塩は入っていません。このスープの残りは、次にポタージュにできますが、これももちろん無塩で作れます。うま味のある出汁で作ったポタージュに調味料は不要です(写真2)。是非お試し下さい。
写真1(私の料理) 鱈と鶏肉、揚げ豆腐に白菜などの野菜を刻んで水で煮込んだ、鱈と鶏肉、揚げ豆腐入りのスープ。七味をふりかけでいただきました。鍋にあるこのスープの残りは、ポタージュになります。
写真2(妻の料理) 写真1などの無塩スープの残りは、妻は上手にポタージュに使います。うま味のあるスープは捨てるのはもったいない。これはカボチャの無塩ポタージュです。カボチャの甘みがとても美味しい。
2016年3月5日
簡単にできる美味しい無塩の鶏肉焼
今日も妻が作った夕食の食塩無添加の美味しい料理を紹介します。これも、無塩食の入門にはうってつけと思います。
丸三日間、仕事で外食の日が続きました。でも帰ってきた日の夕食からは何の苦もなくいつもの食塩無添加食に戻りましたし、家庭での料理を美味しくいただいています。今日の夕食である鶏肉料理も、一切塩を含む調味料は使っていませんが、外食が続いたあとでもとても美味しく感じましたので、ここに紹介します。
以前、鶏肉は焼いただけで美味しい、と言いましたが、写真の鶏肉の焼いたものは正にそうです。そのままで、香ばしさとうま味がたっぷりなのです。それに、野菜(ニラ)の卵とじ炒めが付いていましたが、これも卵のうま味と油がなじみ、美味しい一品で何も調味料を必要としませんでした。それに、ミニトマトと、ナスの炒め物が少し添えられていました。冬のミニトマトは甘くて美味しいですね。
これで、電子レンジで温めた米飯をいただきました。皆さんも是非一度、鶏肉はだた焼いただけで美味しいと言うことを体験してみて下さい。
写真: 鶏肉の焼いたものは、それだけでとても美味しいものです。ショウガの酢漬けが鶏肉の上に乗っていますが、これが無くてももちろん美味しくいただけます。ニラの卵とじ炒めは、卵の風味もあり、ミニトマトは甘く、いい取り合わせです。
2016年2月20日
おいしい無塩煮物料理の二品
今日は、無塩の牛乳とトマトジュースとを使った二つの無塩料理を紹介します。一つは写真1の牛乳で旬の油で揚げたカキと豆腐をブロッコリー、玉ねぎなどの野菜とともに煮込んだものです。牛乳とカキのうま味に油の風味が加わり、おいしい無塩料理の一品となりました。これはもちろん妻の作った料理ですが、料理経験の乏しい私でも簡単にできるものです。油で揚げるのが面倒なときは、そのまま煮込んでもおいしい料理になります。
もう一つは無塩トマトジュースを使った煮込み料理です(写真2)。具材は旬の鱈にトマトや菜っ葉です。トマトのうま味と酸味たっぷりのおいしい無塩煮込み料理となりました。これも、料理の経験の乏しい男性でもできるものです。今回は妻が作りましたが、私も過去に何回も作っておいしく食しています。
上の二つの料理は簡単ですし、食塩を減らそうと思っている方の入門料理としてもうってつけと思います。是非試してみてください。
写真1 旬の牡蠣と揚げ豆腐、野菜の牛乳煮込み料理
牡蠣と豆腐は一度軽く揚げているが、揚げなくてもおいしい。その他の塩分を含む調味料は使っていないので、食塩は無添加。好みに応じて、胡椒やしょうが、七味、サンショウなどの香辛料を使うのもよい。
写真2 鱈とトマト、菜っ葉などの野菜の無塩トマトジュース煮込み
トマトジュースはうま味と酸味のバランスがよいので、私の大好きな料理。無塩で簡単な料理の代表、もちろん鱈も無塩です。
2016年1月16日
年末年始で増えた体重を食塩無添加食で戻す
昨年の12月からお正月にかけて外泊が合わせて1週間ほどあり、12月の始めは55.7kgであったものが、1月10日には57.4kgと1.7kgも体重が増えた(図1)。これはまずい!! 外泊に加え暮れからお正月にかけて、エネルギー摂取量が増えたのみならず食塩の摂取量も普段より多くなった。その分、体脂肪のみならず体液量も増えたのであろう。
今まで気づかなかったが、短期間に体重が2kg程度増えると、何となくおなかにものが詰まったように感じるようになった。これは内臓脂肪が増えたせいかもしれない。 このまま体重が増加すると、また以前のように、おなかがぽっくりと膨らむ可能性がある。
私にとっては、家庭での食塩無添加食は何の気苦労もなくできるが、体重を減らすには食事量や間食を減らす必要があるので、むしろこちらの方が難しい。
図1に体重の推移を示したように、今朝やっと55.9kgとなり、60kgを切った。ようやく12月の始めころの体重に近くなった。それは、いつもの食塩無添加食を続けた成果であろう。もちろん、1日1万歩あるくことも目標にして、わざと片道50分ほどかかる釣り具屋さんまで歩いたり、四条河原町近辺をウインドウショッピングをしながら1時間以上も歩き回ったりした。
さて、最後に今年のおせち料理の一部をご紹介する。写真1は、お重からおせちを取り分けたものであるが、ここで食塩が入っているものは、好物のかまぼこと、う巻きである。う巻きはたれのついてない白焼きを使っているが、卵には少々出汁に塩が入っている。小麦粉アレルギーの孫がいるので、今年のおせちは醤油を一切使ってない。これは、醤油にも小麦粉が若干入っているとのことで、妻は特別に注意したようだ。その代わりに塩麹で味付けしたとのことであった。
写真2はおせちの野菜サラダである。この中では、ゆで蛸とモッツァレラチーズに少し塩分が入っていたが、他のものは無塩である。もちろん、酢やレモン汁、わさびを使いアクセントをつけて美味しくいただいた。
妻が無塩で作ったおせちは次の通りである。
- たたきごぼう
- 芋きんとん
- 大根なます
- ごまめの無塩バター炒めナッツ和え
- サラダ
- 鶏ミンチの海苔巻き揚げ
図1 年末年始の体重の変化、外泊や外食により食塩量と摂取カロリーが増えた時に体重が増えた。その後、食塩無添加食を続けて、ようやく56kgを切るまでに戻った。体重はすべて起床時に同じ体重計で測定したもの。
写真1 おせち料理を取り分けたもの、 好物のかまぼこには塩が入っている。その上にあるう巻きはたれのついてない白焼きのうなぎを使い、無塩であるが、卵焼きに少々塩が入っている。数の子にも塩が少し残っていた。
写真2 取り分けた野菜さらだ、茹で蛸には少々塩が残っていた。モッツァレラチーズにも少し食塩が入っていたが、他は無塩であった。刺身のホタテはわさびでいただいた。他の家族は適宜醤油、ドレッシング等の調味料を使って食べた。
2015年12月11日
好物の餃子を皮に含まれる0.2gの食塩のみで食す
先日、大学の同級生が泊まっていったが、目的の一つに食塩無添加料理を食べてもらうことにあった。彼は長野県の農村部の診療所長として、日々高齢者の病気の治療と生活の支援をしている。きっと高血圧の患者さんも沢山抱えているはずである。帰宅してからのはがきに、意外と美味しかったし、自分たちもやってみようという気になったとあった。
もう25年も前のことであろうか、ロンドン大学の教授である友人の家に泊めてもらったことがあるが、そのときにいただいた朝食に塩気がなかったので、「これはlow salt (減塩食)か」と尋ねると「いや、no salt (無塩だよ)」という返事で、うわーかなわんな、という思いをしたことがある。彼は察したのか、「夕食をレストランにするか、それとも自宅で食べたあと演劇を見に行くか」と聞いてきたので、迷わず、「レストラン」と答えたことを覚えている。今なら、逆に迷わず「自宅で無塩食を」と答えたに違いない。
昨年の3月にも食塩無添加餃子をこのコラムに載せているが、もう一度ここに、好物の餃子を食塩無添加で美味しく食べた記録を紹介する。実は私の自慢の料理の一つである。
普通、餃子の皮には1袋に0.4g程度の食塩が含まれているが、今日食べた餃子の皮はさらに食塩の含有量が少ないものであった(写真1)。一袋でわずか0.3g弱であり、20個食べても、0.2g程度であった。餃子の具は定番の白菜、それに豚ミンチである。食塩を使うときには、細かく刻んだ白菜に小さじ1杯程度の食塩を振りかけて良くもみ水分をとるが、ここでも食塩は使わずに、ただ刻んだ白菜を手もみして水分を少し落とした。昔は、ここで醤油を少し入れたがこれもなし。好みで少しごま油を具にいれて混ぜるのもよい。ごま油を入れるのは、中国から日本に留学していた友人の某教授から教わったが風味づけとのことであった。この具をよく混ぜて、用意した餃子の皮で包む。油を引いたフライパンに載せて、焼き上がりがくっつかないように上からちょっと油をさっと走るようにかけ、餃子が3分の1から2分の1くらいつかるように水をいれ、ふたをして焼き上がりを待つ。
餃子の無塩たれは、酢と、ラー油、ニンニクのおろしを混ぜたものを使う。ニンニクのおろしは、ぴりっとしてとても美味しい。酢は欠かせないが醤油は使わない。したがって、たれは全くの無塩である(写真2)。焼き上がったものをこのたれに浸けて食べるが「うまーい」と自画自賛する。もちろん、小さじ2分の1杯程度の醤油を仮につかったとしても、たれは食塩0.5g程度である。
これで、本日の昼食は食塩無添加で餃子の皮の分が0.2g、優に1食の食塩摂取量が1g未満に収まり、しかも満足であった。
写真1 この餃子の皮、1袋食べても食塩0.3g弱に収まる。25枚入りであったので、20個食べたが、食塩にして0.2g程度である。
写真2(私) 餃子のたれは無塩のたれ。酢、ラー油、ニンニクのおろし。ニンニクのおろしはぴりりと辛く美味しい。
写真3(私)具は無塩の餃子。皮には1袋25枚で0.3g弱の食塩が入るが、20個食べても0.2g程度の食塩摂取量に収まる。
2015年11月26日
外食を凌ぐ
先日、東北地方の県医師会の講習会で、講演する機会があった。私は温泉大好き人間であり、温泉旅館も含め、三日間ほど外食することとなった。さて、私の塩分摂取量はうまく調節できたであろうか、気になるところである。
行きの列車の中、自宅での食事が間に合わず駅でサンドイッチを買う羽目になり、あろう事か、このサンドイッチは迷って選んだ割には塩辛いものであった(失敗!)。温泉旅館は、インターネットで夕食・朝食ともバイキング料理のコースを申し込んだ。これは、大成功。妻も同行したので、間違って味が濃いものを皿にもっても「食べて」と渡すことができ、薄味と思えるものを選択することができた(妻は幸いにも低血圧気味)。この旅館、ほうれん草のお浸しは茹でたままのものを盛ってあり、好みで出汁を掛けるようになっていた。これはありがたかった。もちろん、生野菜のサラダは、気にすることなく皿に盛りつけられ、ドレッシングを掛けなければ塩分ゼロにできる。長らく食したことのない笹かまぼこも1切れいただくことにした。天ぷらと刺身は、いつもの通り、つゆなしとわさびのみで美味しくいただいた。塩辛いかどうかわかりにくいものは、少量とってみて、大丈夫であればあとでまた取りに行けばよい。何度でも行けるのがバイキングの利点だ。朝食はさらに上手に無塩、低塩のものを選択することができ、新米のおいしさに感謝しつつ朝食を終えた。
講演のあと、焼き肉をいただいた。この焼き肉料理は誠に美味しかった。しかし、わたしは、たれは一切使わず、焼いたものをそのままいただいた。幸い、前もって調味料に浸したものは1品しかなく、薄い塩味がある程度であったので、ほとんど、調味料を使わない食事としていただくことができた。そのあと、冷麺も少しいただいたが、汁は吸わないので、これも、たぶん、わずかな塩分で収まったのではないかと思った。
麺類好きの私にとって、東北に行ってそばを食べないと言うことはあり得ない。ましてや新そばの季節である。昼食に天ざるを注文した。天ぷらは天つゆは使わないのでほとんど塩は入らない。そばは、つゆを使うが、ざるから新そばをつまみ上げてその裾の部分に少しだけつゆをつけて食べる。なんでも、ものの本によると、そば通のそばの食べ方はこのようにして食べ始め、最初にそばの香りを楽しむと書いてあった記憶がある。私は、始めだけでなく終わりまでこの食べ方をする。これで、塩分はほとんど入らない。たぶん、食塩1gまでに収まっていると思われる。
夜、京都駅に着いたので、いつものピザ料理を食べてから帰宅することにした。いつも頼むサラダ(ドレッシングなし)を頼み、メインの肉料理は、ソースのかかってないところを食べた。
そのようなことで、気をつけた食事をしたと言っても、さすがに外食が3日ほど続くと、塩分もそれなりに入ったのではないかと思っていたが、帰宅して夜の10時過ぎにいつものナトカリ比計で尿を計測すると、何と、想像したよりもずっと数値は小さく、いつもより0.5ほど高めではあっても1.1と上等であった。笑い話であるが、同僚の一人がうなぎどんぶりを食べたあとは7もあったとか。それにくらべれば優秀である。しかし、これは尿に反映するのが遅いのかと思い、用心してその後2日間は頻回に尿中のナトカリ比を計測したが、昼間はいつもと余り変わらない1未満の値であった。
結論としては、普段よりも外食で塩分は多く摂取したが、それなりに注意して料理や食品の選択をすると、その後の尿中ナトカリ比から類推すると、日本高血圧学会の基準1日6g未満には収まっているのであろうと思えた。今回は、いかに自宅での、あるいは普段の減塩や食塩無添加料理の習慣に慣れておくことが大切かを物語るものであった。そのことにより、外食であっても、自然と食塩が入らない食品の選択や食べ方ができたのだと思えた。
外食の凌ぎ方を以下にまとめる。
1.バイキング料理をなるべく選ぶ。
2.濃い味付けのものは食べない。
3.味付けのものは少量とする。
4.ソースやドレッシングは掛けないでと注文する。あるいは、別にして、と頼む。
(たいていのレストランでは対応してくれる)
5.おつゆは大敵、少量に心がける。
6.天ぷら、刺身などは塩分を使わなくても美味しく食べられる。
以上がうまく実践できるかどうかは、結局のところ、各自の日頃の減塩達成度がどの程度できているかによるであろう。