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2016年12月23日

食塩無添加日記 20161223

保健師、栄養士さんを招いての料理実習

今日は、兵庫県丹波市の保健師、栄養士さん5人と看護大学の学生さん一人を自宅に招いて、料理実習をしました。そのレポートと、指導した妻の後書きとの三点を記載します。

 

上島 弘嗣

 

自宅で食塩無添加の料理を妻に作ってもらっていますし、私自身も妻の居ない時には作りますが、実際にそんなことができるのか、食事はおいしいのか、と疑問に思われるのが普通と思います。これは実際に体験してみるしかないので、今回、地域で元気一杯に活躍しておられる方に直接体験してもらい、地域で広めてもらうきっかけになればと料理実習を企画しました。

帰られてからの保健師、栄養士さんのレポート、さすがに日々住民の皆さんに接しておられるだけあって、大変分かりやすく上手にまとめていただきましたので(作成 栄養士 藤原里佳さん)、ここにそれをそのまま(位置等は紙面の都合で調整しましたが)掲載することとしました。そのため、今回は大変長くなりましたが、お読みいただければ幸いです。

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兵庫県丹波市の保健師、栄養士さんのレポート

『食塩無添加』料理講習

1 講師:上島嘉美さん

減塩だけでなく、体重や血糖コントロールにも配慮したお料理を実践
食材を無駄にすることなくまるごと使うこと、環境に配慮した洗い方など、海外生活などから身につけてこられたエコクッキングを実践

 

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2016年12月7日

週刊誌記事、“アメリカでは高血圧の塩分犯人説は終わっている”は本当か?

このところ、週刊誌に減塩は有害であるかのような記事が掲載されています。このようなことは、今に始まったことではなく、周期的に繰り返されてきました。日本の週刊誌のみならず、アメリカの有名な雑誌Timeでも1979年に塩に関する議論として、食塩と高血圧の関係を否定するような意見を取り上げらました。私は、食塩無添加食を実践している立場からも、これらの記事の誤りを指摘しておかねばなりませんので、今日はそのことについて述べたいと思います。

 

アメリカの次期大統領のトランプ氏が『地球温暖化は産業活動の影響ではない、自然現象だ』と断言したことに対して、Natureと並ぶアメリカの科学雑誌、Science(サイエンス)が科学的根拠に基づいた発言をして欲しいと異例の警告を発したのはつい最近のことです。産業界は常に利害が対立しており、トランプ氏の発言のようなことがしばしば起こります。世界中のたばこ産業界が、喫煙の健康障害の証拠はないと長年言い続けてきました。タバコ産業は資金に任せて財団を作り、シンクタンクを作って研究者を雇い、また研究資金を提供し、タバコの害を明らかにしてきた研究に対して、ことごとくそれに難癖を付けて来た歴史があります(「世界を騙しつづける科学者たち、上下2巻」(ナオミ・オレスケス、エリック・M・著、福岡洋一訳、楽工社)。

 

本論に入ります。“アメリカでは高血圧の塩分犯人説は終わっている”という趣旨の記事は本当でしょうか。この週刊誌の記事は、上にあげたタバコの例と同じ文脈にあります。研究論文に驚くような勝手な解釈をしている医師や研究者、雑誌記者が、週刊誌の記事に拘わっていそうです。現に、私は週刊誌に取り上げられたインターソールト研究に現在も拘わっていますが、週刊誌の記事にあるような趣旨の論文—食塩摂取は血圧と関係ない—は一度も公表していません。週刊誌の記事は、公表した結果と全く反対の、間違った記述をしています。

 

2014年に塩擁護派のグループから塩の摂取量の低いところでは循環器疾患発症率が少し上昇するという論文が発表されました。しかし、この論文は塩の摂取量の推定値の算出根拠が誤っています。因みに、1日7グラムの食塩摂取量とされているところは、算出根拠の論文をみて修正すると、2.5グラムぐらいでした。塩の摂取量の標準的な推定方法は1日分の蓄尿を複数回繰り返し、尿中に排泄されたナトリウムより計算するのが標準ですが、この研究はそれをしていません。従って、食塩の推定量が不正確なのです。私の見るところ、死亡率が上昇するとした食塩摂取量は測定の偏りを考慮すると、食塩の摂取量が3g未満からゼロに近いところでした。仮に、この食塩摂取量の極めて少ないところの死亡率が少し上昇したとしても、もともと具合の悪い人が極端に減塩していた可能性を否定できませんので、因果関係は不明です。

 

食塩を減らすと血圧が低下することには、食塩擁護派も反論していませんし、自らもそのような成績を発表しています。この点に関しては、科学的な論争はないと言えます。問題は極端に少ない食塩摂取量のところでも健康に害はないのか、という点です。食塩の摂取量を24時間蓄尿によって正確に測定したものでは、そのようなことは観察されていません。しかし、この点に関してはもう少し研究が必要と言えます。いずれにしても、普通に食事が出来ている人では害はない、というのが世界的な合意です。普通に食事をして日常生活を送っている人では、1日3g未満の食塩摂取量になることは、ほとんどないでしょう。多くの食品には、もともとナトリウム等のミネラルが、量の多少はあっても、含まれていますので。

 

アメリカの2015年の最新の食事ガイドラインでも、食塩の過剰摂取を改めるようにとしています。その中で、食塩を減らすと血圧は低下することを繰り返し強調しています。日本の厚生労働省の“健康日本21(2次)”では、国民一人当たりの食塩の摂取量を1日8g未満にするようにとしていますが、アメリカのものは、1日Na 2400mg未満(食塩6g未満に相当)としています。また、世界保健機関(WHO)では2025年までに世界の人々の食塩摂取量を1日5g未満にしようと呼びかけています。この呼びかけは高血圧でない人にも当てはまります。

 

以上の点から、減塩は高血圧の人にとっては必須です。減塩した分だけ血圧が低下することが期待できます。

 

私は、ここ3年近く、家庭では一切食塩を添加しない食事をしていますが、24時間蓄尿による食塩摂取量は1日3g程度です。体重を減らしたこととも相まって、降圧薬を半分に減らすことができました。

 

参考資料

アメリカの食事ガイドライン(2015年)の原文の一部抜粋

Part D. Chapter 6: Cross-Cutting Topics of Public Health Importance

The DGAC concurs that adults who would benefit from blood pressure lowering should “lower sodium intake.” AHA/ACC Grade: Strong; DGAC Grade: Strong

 

The DGAC concurs that adults who would benefit from blood pressure lowering should

“Consume no more than 2,400 mg of sodium/day.” The report also indicates that “Further reduction of sodium intake to 1,500 mg/d can result in even greater reduction in blood pressure”;

Part D. Chapter 6: Cross-Cutting Topics of Public Health Importance Scientific Report of the 2015 Dietary Guidelines Advisory Committee and concludes that “Even without achieving these goals, reducing sodium intake by at least 1,000 mg/d lowers blood pressure.” AHA/ACC Grade: Moderate; DGAC Grade: Moderate