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ナトリウムの一部をカリウムに置き換えた代替塩

食塩無添加日記 2021年9月25日

ナトリウムの一部をカリウムに置き換えた代替塩
                               上島 弘嗣

アメリカの医学雑誌に中国の600の村を対象にして、半々、代替塩と通常の塩を使い5年間追跡する臨床試験の成績が発表された。脳卒中の既往のある人や高血圧のある人で平均年齢が65.4歳の男女約2万人を対象としている。この代替塩は通常のナトリウムの25%をカリウムで置き換えたものである。したがって、仮に薄味にしなくても25%程度は成分構成からするとナトリウムが少なくなる。味はこの程度だと、料理に使って食べると違いが分かりにくい。ナトリウムをカリウムに置き換えているので、血中のカリウムが高くなって健康傷害が出ないかも検討課題であった。
 結果としては、代替塩群が通常の塩を使っている群よりも収縮期血圧が3.3mmHg程度低くなり、24時間蓄尿における食塩相当量が約0.9g下がり、カリウムは20.6mmol(527mg)増えた。そして、脳卒中発症は14%程度減少した。血圧の低下から予測される脳卒中の減少であると理解できる。代替塩による健康障害の増加は見られなかったという。
 この論文は、代替塩の安全性と効用を示す重要な一つの論文と言える。
 代替塩を使うことは、塩味をあまり変えることなく、ナトリウムの摂取を減らすこと、また、カリウムの摂取が増えることを意味している。したがって、薄味による減塩を目指すための第一選択品ではないが、薄味を目指しつつ、さらに代替塩にすることは減塩の程度をより一層大きくすることには役立つと思われる。また、加工食品に含まれるナトリウムの量をほぼ味を変えることなく減らすことも可能である。
 ナトリウムをカリウムに置き換えた醤油や調味料はスーパーでも売っているが、なければ、代替塩に置き換えた商品の販売を促進しようとしている、一般社団法人適塩・血圧対策推進協会(理事長はかつての同僚、私もポランティアとして理事)のホームページに通販の情報がある。
最後に注意を。腎機能に障害のある人は、カリウムの摂取を制限しなければならない場合があり、そのような方は主治医の指導に従ってください。

参考文献:Neal B, et al. N Engl J Med 2021;385:1067-77.