食塩無添加日記 2017年11月13日
減塩有害説にだまされるな
―魚のアラを生かしたおいしいカボチャポタージュ
上島 弘嗣
週刊誌にまたぞろ、StassenやYusufらの論文をもとに、減塩有害説がまことしやかに、注目を引こうと喧伝されている。彼らの一連の論文批判は、すでに2017年3月1日のコラムで行った(文献1,2)。Stassenらの論文は、分析方法が誤っている(文献1)。Yusufらのものは、一つは、彼らの論文のスポット尿(1回の随時尿)からの食塩摂取推定量に大きな誤差と偏りがあることが、全く論じられていないことである(わざとであろうが)。彼らが1日6g以下の食塩摂取量としたところは、本当は3g以下である(文献2)。さらに、因果の逆転を十分に検討していないことである。私は、心臓疾患があり、高血圧があるから思い切って家庭での食塩を含む調味料を一切使わない食事をしているが、1日3g以下で食事をしている人は、私のような特殊な人が多いであろう。食塩を多く取っていたときよりも、病状が進む速度は遅いが、完全に止めることはできない。すると、減塩食は死亡率が高い、とでることになる。これが因果の逆転である。同じようなことは、禁酒者で死亡率が高いことでも見いだされる。禁酒が死亡率を高めるのではなく、禁酒せざるを得ない状態(肝障害、アルコール依存症があった等)が真の原因であり、禁酒そのものではない。ついでながら、Yusufは論文で食品業界との関わりを伏せていた(文献3)。
さて、魚のアラからは絶品の出汁が取れる。この出汁をたっぷり含んだポタージュが写真1である。カボチャ、サツマイモで甘みを出し、昨夜の残りの煮物野菜も使って、ミキサーにかけ、少量の牛乳も加えてポタージュにしたもの。私は、それに七味を掛けてよばれた。美味しい! 今日はこれを野菜たっぷりの焼きめしと一緒に食した(写真2)。
文献
- 上島弘嗣: 減塩は有害とする論文への批判. 医学のあゆみ 2012;241:1103-7.
- 上島弘嗣: 特集 動脈硬化と食事. わが国の動向:食塩の過剰摂取問題を巡って. 動脈硬化予防 2017;16:5-12.
- Campbell NRC. Letter to the Editor. Dissidents and dietary sodium: concerns about the commentary by O’Donnell et al. In J Epidemiol. 2016, 1–5 doi: 10.1093/ije/dyw292
写真1(妻と私の料理) 魚のアラで出汁をとり、それを基に牛乳、カボチャ、サツマイモなどを加えて、ポタージュとした。
写真2(妻の料理) 野菜とレバーの入った、無塩焼きめし。左は、アボガドのヨーグルト和え。ポタージュと一緒に食した朝食。