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具材を生かして味付けを

食塩無添加日記 2021年11月12日

具材を生かして味付けを
                                       上島 弘嗣

アマゾンの奥地に住む原住民ヤノマミの人々は、食塩を添加した食物を取らず、もともと食物に自然に含まれているナトリウムで命をつないできた。1980年代の食塩と血圧に関する国際共同研究(インターソルト研究)では、このヤノマミの人々の24時間蓄尿中におけるナトリウム排泄量は殆ど0に近かった。この意味は、余分なナトリウムを殆ど摂取していないということである。したがって、ナトリウムが不足しないように、尿から出ないように腎臓で精いっぱい再吸収しているのである。

 ヤノマミの人々は、現代社会の私たちと違い、血圧は低く、歳をとっても血圧は上昇しないが、これは、ナトリウムの摂取量が少ないことが、大きな要因と考えられている。

現代社会に暮らす私たちは、自然の食品のみならず、塩分の添加された加工食品や料理を食べるので、体に必要なナトリウム以上のものを日常の生活のなかで取っている。この余分なナトリウムが尿の中に排泄される。もし排泄されなければ、私たちの体は水膨れしてしまう。

1日の24時間中に排泄される尿中のナトリウム量から1日当たりの食塩相当量を推計すると、多くの日本の研究では、1日一人当たり10-11g程度となっている(図)。この分が、大まかに言えば、必要以上に取っている量になる。

食塩無添加でも1日1-2g程度の食塩相当量(食材に含まれるナトリウム量から食塩相当量を推算)は食材そのものから入ってくるので、普通に生活していれば、特別な病気がない限りナトリウムが不足することはない。

 そこで、今日のお勧めは、自然に含まれる食材の風味、うま味をできるだけ利用して、余分な塩分の添加をできるだけ控えた食事をしようと言うことである(写真)。写真は食塩を含む調味料を添加せずに調理した煮物汁である。具材が豊富だと結構いける。試してみてください。

参考文献

Mancha-Carvalho JJ, de Oliveira R, Esposito RJ. Blood pressure and electrolyte excretion in the Yanomamo Indians, an isolated population. J Hum Hypertens. 1989;3:309-14. PMID: 2810327

 24時間蓄尿に基づく日本の研究者の報告では、日本人男性の食塩摂取量の推計値は1日当たり10-13.5g程度であった。調査年は1985-2013年のもの。この期間では、食塩摂取量は大きくは変化していない。

写真 お汁でもあり煮物でもある。冷蔵庫にある野菜や根菜類の具材をたっぷり放り込み、ジャガイモやさつま芋でうま味と甘味を引き出し、大根、ネギ、厚揚げも入れて風味もあり美味しい汁煮物にする。