私が家庭での食塩無添加食を始めたのは2014年の3月ですので、丁度、丸3年が経過しました。
食塩無添加食を始めた動機は、降圧薬が減らせない、持病の心臓病のために足に浮腫がでる、
主治医にもっと減塩をしてくださいと言われた、等々のことからです。
減塩指導は私の専門の範囲でもありましたので、これはいかんと思い、もっと減塩を徹底しようと
考えたのです。
現在の食塩量を半分以下にするには、自分達が調査した結果から、家庭での料理に食塩の入っている調味料を原則使わないことにしないと、容易に達成できないことが分かりました。
とは言え、どんな食事になるのだろう、まずいだろうな、悲惨だろうな、などと正直思っていました。
ところが、1月もしない内に、食塩無添加食って美味しいな、楽しいな、今日はどんな料理になるかな、とむしろわくわくし出したのです。
そして、食材の本来のおいしさを楽しむことができるようになりました。
もちろん、これには妻の支援なしにはできなかったことですが、3年経った現在では、妻がいなくても、自分で食塩無添加食を造れるようになり料理も楽しくなってきました。
仕事上、外食をする機会が多いのでそのときは出来るだけ塩分の少ない料理をいただきます。
外食が続いた後でも、家に帰ればすぐに食塩無添加食に戻ります。
体重コントロールのようにリバウンドすることは有りませんし、そのような不安は全くありません。
結果として、降圧薬は一頃の半分に減らすことができ、寒い冬でも血圧値は120mmHg前後に収まっています。
もちろん、すねの浮腫は消えました。
・・・時々、減塩は有害である、などという変な疫学研究論文が出て、それをまことしやかに喧伝する医師もいますが疫学は私の専門ですので、幸いにもそのような論文を見るとすぐにその論文の誤りや問題点を見抜くことができます。
減塩は有害であることを示すような質の高い論文、信用するに足る論文は今までありません。
有名な医学雑誌に掲載されていても、信用するに足るかどうかは、しっかりとその論文を吟味し、
誤りや問題点がないか確かめることが条件となります。
論文の結果だけを物知り顔に吹聴する人にだまされないようにしないといけません。
減塩運動はWHOを初めとして、多くの国の健康的な生活習慣の基本として世界中で進められています。
タバコ規制に抵抗したタバコ会社のように、一部の食品産業は研究者を抱き込み減塩有害論を支援していますが、そのような研究者はすぐに正体を暴かれます。
最近、減塩は有害であるとの論文を立て続けに出したカナダの研究者グループが、食品業界から多くの研究費をもらい、それを論文で開示していなかったことが同じ国の研究者から暴露されました。(※)
減塩は個人の努力だけでなく、加工食品に含まれる塩分も減らす必要があります。
これには、食品産業界の協力が必要です。
実際に、多くの減塩食材や加工食品が販売されるようになり、レストランでも食塩含有量が記載されるようになりました。
国民の一人ひとりの努力で食塩摂取量を少しでも減らし、血圧の上昇を抑制し血管の老化を防ぎたいものです。
それが健康寿命を延ばすことに繋がります。
上島 弘嗣
※ Campbell N RC. Dissidents and dietary sodium: concerns about the commentary by O’Donnell et al. International Journal of Epidemiology, 2016, 1–5doi: 10.1093/ije/dyw292